『空白を満たしなさい』阿部サダヲの怪演が爆発 家族の愛が物語のポイントに?


空白を満たしなさい』(くうはくたしなさい)は、平野啓一郎による日本の長編小説。漫画雑誌『モーニング』(講談社)で、2011年40号から2012年39号まで鎌谷悠希のイラスト添えて連載され。編集は佐渡島庸平が担当した。 死んだはずの人間が生き返る「復生者」のニュースが世界各地で伝えられてい
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 柄本佑が主演を務めるドラマ『空白を満たしなさい』(NHK総合)が、6月25日より放送を開始した。 本作は、作家・平野啓一郎が2012年に発表した、同名小説を映像化したヒューマンサスペンス。3年前に亡くなった徹生(柄本佑)が突如「復生者」として生き返り、なぜ自分は死んだのかの答えを探していく物語だ。 まず示しておくべきは、筆者が原作を未読であること。もちろん原作小説が映像化する喜びや楽しさは十二分に理解しているが、結末を知らずに観るドラマの面白さや衝撃も当然ある。 この第1話を語る上でのポイントは大きく分けて2つ。まずは復生した徹生に対する、周りの反応だ。人が蘇るというある種の突飛な設定でありながら、その描き方はかなり生々しい。会社の会議室でガバッと起き上がった徹生は、何事もなかったかのように自宅に帰宅する。妻・千佳(鈴木杏)は家に帰ってきた……いや、入ってきた彼の姿に後ずさりし、息を荒くして咳き込む。そこにあるのは恐怖。幸せな家庭だった。 しかし、急にやって来た徹生の急な“自殺”。千佳はこの3年間で緩やかにその事実を受け止め、一人で息子の璃久(斉藤拓弥)を育ててきた。その相手が愛する人であったとしても、生き帰ってきたというにわかには信じられない現実を受け止めきれるだろうか。徹生の亡くなる直前までの記憶が“空白”になっている奇妙な部分も含めて、喜びの感情から抱きしめるというよりも、むしろその反対の後ずさりしてしまうといった行動はリアルな描写と言える。 そして3年前はまだ物心がついていなかった璃久にとっては、徹生はパパという認識はなく、どちらかといえば急にやって来た知らないおじさん。父親と言われてもすぐには受け入れ難い。というのは千佳も同じで、昔と同じように愛した夫であると自分に言い聞かせるのだが、復生者という事実から彼を拒んでしまう。全国で多発する復生者にまるで作業かのように冷淡になってしまっている警察。そうなってしまわないように、家族の愛を取り戻せるかがこの物語の核でもあるだろう。 もう一つのポイントは、徹生と千佳に並ぶ重要人物の一人・佐伯(阿部サダヲ)の存在だ。柄本佑と鈴木杏がゲスト出演していた『土曜スタジオパーク』(NHK総合)を通して、佐伯が相当奇抜で異様な人物であることは把握していたが、その想像を遥かに超えてくる薄気味悪さにゾッとした。佐伯は徹生の勤務先で警備員だった男。徹生がなぜ自分は自殺してしまったのか、殺されたのではないかと考えを巡らせていく中で、脳裏に蘇るのが佐伯の存在だ。 出会いは佐伯が鳩を蹴り殺しているというショッキングな場面だった。その奇行を注意したのをきっかけに徹生は佐伯から付きまとわられるようになる。怪しく、陰湿。演じる阿部サダヲは『土曜スタジオパーク』の中で、佐伯について「世の中の嫌なことを吸い込んでいっちゃう」といったような表現をしていたが、まさに鬱憤を溜め込んでいっていくような人物。その負のエネルギーが露呈するのが、車中で徹生と2人きりになるシーンである。 佐伯は人生を諦めた露悪的とも言えるキャラだ。なぜ人は働くのか、幸せとはなにか。新商品の開発でヘトヘトになるまで働く中で、会社に蔓延する徹生が業者からキックバックを受け取っているという噂。その心の弱みにつけ込み、佐伯は徹生を徐々に追い詰めていく。この雨降りしきる車中のシーンは、約6分にわたる阿部サダヲの長ゼリフがメインとなっている。徐々に本性をあらわにしていく佐伯は、過激に徹生へと迫っていく。決定打となるのが、「あなたの奥さんの遺伝子と私の遺伝子を結合させてくださいよ」という変態的な一言。阿部サダヲの怪演も息を呑むが、それを受けての柄本佑の演技も圧巻だ。 佐伯に殺されたのではないかと記憶を探っていた徹生は、自身の手で佐伯の首を絞めていたことを思い出すのだった。ラストは佐伯と千佳との間に、何かがあったことが仄めかされ第1話は幕は閉じる。 全5回にわたって放送される『空白を満たしなさい』。徹生は自殺したのか、佐伯に殺されたのか、それともーー。その“空白”の真実が解き明かされていく。